シリア内戦、宗派間抗争の様相を強める 国連報告
(CNN) 国連は20日、シリア情勢に関する報告書を出し、内戦は民族間・宗派間の紛争という様相を強めているとの見解を明らかにした。
国連調査委員会は報告書の中で「政府軍と反政府武装勢力の戦闘が2年目の終わりを迎えるなか、紛争は過度に宗派間の対立によるものになっている」と指摘した。同委員会はインタビューを元に定期的にシリア情勢に関する報告を出している。
報告書によれば政府軍とアサド政権支持の民兵組織を構成しているのは主に少数派のイスラム教アラウィ派で、反政府勢力への支持が広がっているスンニ派に攻撃を加えている。逆に反政府側はアラウィ派の人々を標的にしているという。
アラウィ派とスンニ派の対立は先鋭化しており、報告書によれば、政府軍による砲撃を「アラウィ派の村にある陣地から発射された」と表現するなど、ここ数カ月間でシリアの人々による紛争の受け止め方が明らかに変わってきたという。
また、中東や北アフリカ出身のスンニ派が反政府武装勢力に参加する一方で、シーア派が政府側に加勢する動きも出てきた。レバノンのシーア派組織「ヒズボラ」は、構成員が政府側について戦っていることを認めているし、イランの革命防衛軍が政府軍に助言を与えているとの報告もある。
また、どちらにも属さない少数派のキリスト教徒も、紛争から身を守るために避難をよぎなくされているという。
一方、これまでアサド政権寄りの姿勢を取ってきたロシアのプーチン大統領は20日、目指すべきはあくまでも紛争の終結だと明言した。「ロシアはアサド大統領とその政権を維持することではなく、地域の崩壊や内戦の継続を防止するような解決を支持する」と述べた。