韓国で女性大統領誕生、しかし男性優位の状況は変わらず?
軍事クーデターで権力を掌握し、1961年から79年にかけ韓国を強権で支配したが部下に暗殺された朴元大統領にはマイナスのイメージの方が強かった。だが、1997~98年のアジア通貨危機以降の混乱と民主化後の文民大統領への幻滅の中で朴政権時代への郷愁が広まり、2000年ごろには韓国の歴史上、最も偉大な指導者の1人と目されるようになった。
保守派の韓国人は、1998年の国会議員補欠選挙で当選して政界デビューした朴氏を国民的英雄の娘として崇拝している。彼女はまた、朴大統領暗殺未遂事件の巻き添えで母親が殺害された1974年以降、ファーストレディー役も務め、父親と同じような歴史観・政治観を抱いている。
その一方で進歩派の韓国人は、父親の影が大き過ぎる朴氏を新しい女性リーダーのシンボルとしては見られない。
第2に、その血筋を除外してみても、朴氏は、女性リーダーとして男女平等や社会的少数派の権利拡大のために行動したという実績には欠けている。
また、コミュニケーション能力が高いとはいえず、特権階級に生まれ育ったために一般大衆の困難な生活に対する共感も欠いていると見られている。盛んに喧伝された女性としての様々な長所は、大統領選挙に勝つための方便に過ぎなかったといえそうだ。