サウジでスリランカ人女性を斬首刑、乳児殺害の罪で
(CNN) サウジアラビアで9日、雇い主の赤ちゃんを殺したとして死刑判決を受けたスリランカ人家政婦の斬首刑が執行された。釈放や刑の減免を求めていたスリランカ政府や人権団体は強く反発している。
処刑されたリザナ・ナフィークさんがサウジに出稼ぎにやって来たのは2005年。04年のスマトラ島沖大地震によるインド洋大津波の被害で家を失った親族に仕送りをするのが目的だった。だが家政婦として働いたのは最初の1週間だけ。その後、雇い主の生後4カ月の息子を殺害したとして逮捕された。
雇い主によれば、哺乳瓶で授乳するよう指示したところ、ナフィークさんは赤ちゃんの首を絞めて殺したという。だがナフィークさんは赤ん坊がミルクを喉に詰まらせた事故だと主張した。
出生証明書によると、ナフィークさんは事件当時17歳。サウジには年齢を偽った旅券で入国していたが、裁判所は出生証明書を考慮しなかったという。ナフィークさんは、暴行を受けて自白調書にサインするよう強要されたとも主張していた。
国際的に見れば死刑判決を受ける年齢ではないが、人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)によれば、サウジでは過去にも未成年者の犯罪に死刑を適用してきた。
サウジでは死刑になる可能性のある事件であっても、「被告に弁護士が公式につくことは少なく、司法手続きがどう進んでいるかも分からないことが多い」と人権団体アムネスティ・インターナショナルは指摘する。
スリランカ政府の閣僚やナフィークさんの家族もサウジを訪れ、寛大な措置を求めたが刑の執行を避けられなかった。ナフィークさんの処刑を受け、スリランカのラジャパクサ大統領は遺憾の意を表した。