シンガポールで異例の政府批判集会、移民拡大政策に抗議
(CNN) シンガポールで16日、政府が打ち出した移民の受け入れ拡大に抗議する数千人規模の集会が都心部の公園で行われた。
単独与党の長期統治が続き、政府批判には規制も多い同国で、政策への抗議集会が公然と開かれたのは極めて異例。
集会の会場は、デモなどの開催が唯一認められている場所近くの公園で、主催者発表では3000~4000人が参加。1965年の独立達成後、政府批判派が開いた集会では最大規模と主張している。シンガポールの警察は、集会への参加者数を明らかにしていない。
シンガポール政府は先に、経済成長を維持し適切なビジネス環境を保つため総人口を現在の530万人から2030年までに690万人に増やす政策を発表。急速に進む高齢化社会への対策として外国人の役割も必要とした。
16日の集会では、参加者が、外国人を恐れはしないが、雇用機会が奪われ、賃金減少や住宅や交通機関の混雑につながるとの懸念を表明。政府の政策は中国系住民らが自国で少数派になりかねないとの不安も示された。
他の先進国同様、シンガポールでも過去数十年間、出生率の減少に悩み、世代交代の推進に支障が出ている。この中で、企業幹部や、建設業や清掃などの低賃金職場では外国人頼みが目立っている。貧富の差が拡大する問題にも直面している。
集会参加者は、国民は将来の経済展望に確信が持てたらより多くの子どもを育てると主張。政府は安価な外国人労働力に依存するより、国民の賃金改善に努力すべきだと強調した。