「中国の夢」は誰の夢? 習主席と国民が見ているものは
米ニューヨーカー誌の中国特派員エバン・オスノス氏は、今日の中国人が経済力だけではなく、より広い意味での「良い生活」を望んでいると指摘する。空気がよりきれいな都市での生活や、賄賂や政治的影響が絡まない公正な裁判などが求められているというのである。
だが、このような希望の実現には政治が絡み、人々の経済的欲求を満足させるためにも政治改革が必要となるため、中国共産党にとっては簡単なことではないとオスノス氏は付け加えた。
中国政府は、国民の高い望みを認識させられていながら、壁にぶつかっているのである。
改革は本物なのか
中国の国連大使なども務めたベテラン外交官の呉建民氏は、習主席の演説や全人代の報告書で政治改革が強調されていると指摘。習主席の姿勢は明確であり、中国には法の支配と民主主義が必要なのだと主張する。
だが、国際社会におけるより高い地位を中国が目指すにつれ、膨張主義や侵略へ向かうとの懸念が、特に海洋における領土問題として一部で出てきている。
ただし、習主席は、中国政府は純粋に平和主義志向だとしており、3月のロシア訪問時の演説で、「中国の夢」は中国人のみならず世界中の人々に恩恵をもたらすとも主張した。
習主席の本当の夢とは何だろう。習氏にはそれをを明らかにするための10年の時が与えられている。