「がんの村」があぶりだす中国の環境破壊の実態 経済成長のしわ寄せ
デン氏は「水は人々にとって非常に重要であるため、汚染は健康により多くの影響を及ぼす」と指摘。「中国は適切ではない経済成長パターンの負の影響をこうむっている。中国は将来も重い環境汚染による高い代償を支払うことになるだろう」と危惧する。
世論の突き上げもあり、中国政府は今年に入って、「がんの村」の存在を認めた。当局は声明で「中国では毒性のある化学製品が製造され、利用されている。飲み水に対する深刻な状況を経験している場所も多く、汚染が、がんの村の発生といった深刻な社会問題の発生を引き起こしている」と述べた。
デン氏は「非常に重要な一歩だ」と政府ががんの村の存在を認めたことを評価する。「実際にこの問題に対処するには、問題の存在を認めるしかない」と付け加えた。
しかし、塢里村で活動するウェイ・ドンインさんにとっては、存在を認められただけでは不十分だ。
ウェイさんは居間の床に地図を広げ、写真を指し示しながら、「ここには死んだ魚が打ち上げられた」「ここの運河が赤く染まった」と説明する。ウェイさんは10年以上にわたり、水質汚染が広がる様子を地図に記してきた。
ウェイさんは2002年にがんの発症が疑われた。その後、腫瘍(しょよう)は除去されたが、このことがきっかけで活動を始めたという。