「がんの村」があぶりだす中国の環境破壊の実態 経済成長のしわ寄せ
「がんの村」があぶり出す中国の環境破壊
中国・塢里村(CNN) 中国東部・浙江省にある塢里村。かつては緑あふれる丘と肥沃(ひよく)な大地で知られた村だが、今では村人は自分たちのふるさとをこう呼ぶ。「がんの村」と。
村人の1人、フェン・シャオフェンさんは家にあった夫と息子の遺影を取材班に示しながら、「ここには住みたくないし、ここで夜、眠りたくない」と訴える。「夫は一家の大黒柱でした。夫が死んだとき、家の柱が折れたようでした。そして、息子も死にました」
1990年代、政府の役人がやってきて、裕福になれると約束したという。しかし、年配の女性は「地元の役人が懐を潤しただけだ」と憤る。
その後、村にはいくつもの繊維会社がやってきて町中に工場を建設した。村人たちは、工場ががんの原因だと考えている。
「がんの村」と言われ始めたのは数年前だ。当時、中国人のジャーナリストや活動家が中国各地に、がんの発症率が不自然に高い場所があることを発見した。その多くは工業化された農村地帯だった。
当時香港の雑誌を中心に動いていた活動家のデン・フェイ氏は農村地帯の水質汚染の影響に注目した。