福島第一原発 米専門家が語る現状と対策
汚染水はいずれ海へ放出するしかないとの見方を示す専門家もいる。「その場合、汚染水は短期間のうちに検出できないほどまで拡散するだろう。ただし、放出前に現在の技術で可能な限り浄化するのが良心的なやり方だ」と、フリードランダー氏は話す。
同氏によると、トリチウムを除くほとんどの放射性物質は、一般的な浄化技術で検知できないレベルまで減らすことができる。
原子炉建屋へ新たに流れ込む地下水を止めるため、東電が検討を進めてきたのが「凍土遮水壁」という工法だ。建屋周辺の地中にパイプを埋め、その中で冷却液を循環させる。トンネル工事などに使われる技術だが、これほど大規模な工事の前例はない。
フリードランダー氏は、同工法が工事期間中など一時的な対策向けで、長期的解決にはならないとの見方を示す。唯一の現実的な対策は汚染水を放出できるレベルまで浄化することだと、同氏は主張する。
現場の事故処理作業にはこの後40年もかかるといわれる。その期間中、外部から地下水が流れ込まないようにすることは、住宅の地下室の浸水防止と同じ技術で可能なはずだと同氏は話している。