フィリピン軍と武装集団の衝突続く、死者61人に
(CNN) フィリピン南部ミンダナオ島のサンボアンガ市でイスラム系武装勢力、モロ民族解放戦線(MNLF)のメンバーが一部の地区を占拠している問題で、フィリピン軍は16日、MNLF側の拠点にロケット弾を撃ち込んだ。メンバーらは1週間前から、住民を人質に取って立てこもっており、当局によると、これまでの死者は61人に上っている。
現場ではこの日も激しい銃撃戦が続いた。国営フィリピン通信(PNA)が軍当局者の話として伝えたところによると、同日昼すぎには空軍の攻撃ヘリコプターが20分間にわたり、ロケット弾でMNLFの拠点を攻撃した。
双方は先週いったん休戦で合意したものの、MNLF側が民間人の居住地に迫撃砲を撃ち込んだことを受け、軍は攻撃的な作戦に切り替えた。MNLFが占拠する地区は当初の約3分の1まで縮小したが、現在も100人余りのメンバーがほぼ同数の人質を取っている模様だ。
軍はこれまでにMNLFのメンバー推定51人を殺害したと発表したが、遺体が収容されたのは21人にとどまっている。MNLF側の負傷者は9人、拘束者は48人に上るという。さらに軍兵士6人、民間人4人が死亡し、兵士と民間人合わせて157人が負傷した。
市内では学校や店舗が閉鎖され、火災で家屋数百棟が焼けた。当局は武装メンバーによる放火だと非難している。長引く衝突でこれまでに6万人以上の住民が避難を余儀なくされた。軍は人質の安全に配慮しながら、注意深く解放交渉を進めている。