転覆した客船コスタ・コンコルディア、引き揚げ始まる 伊
イタリア・ジリオ(CNN) イタリアで昨年1月に座礁・転覆して32人の死者を出した客船「コスタ・コンコルディア」を引き揚げる作業が16日から始まった。当局者によると、現地時間の17日朝までには横倒しになっていた船体を水平に起こすことができる見通しだ。
コスタ・コンコルディアは総トン数11万4000トン、全長約290メートル。2012年1月にイタリアのジリオ島沿岸で座礁し、半分海に浸かった状態で沿岸の岩の上に横倒しになっていた。
船体は16日夕刻までに約25度引き起こされ、側面に取り付けた金属製の容器に海水を注入。その重みを利用して、海底に設置した作業台に船体を載せる作業が進められている。
同船には乗客乗員4200人が乗っており、このうち32人が死亡した。インド人の男性船員(33)と、50歳の誕生祝いに乗船していた女性乗客の2人はまだ発見されていない。
船体が岩から離れた時点で損傷の程度を調べるためにロボットカメラを船内に挿入したが、まだ遺体は見つかっていない。船内には大量の食品や、ペンキ、潤滑油などの有害化学物質が残されており、流出が懸念されていたが、これまでのところ流出した形跡はないようだという。
クルーズ船の運航会社によると、引き揚げ作業は過去最大規模の約8億ドル(約800億円)をかけて実施。島の港や高台には報道陣や見物人が詰めかけて作業を見守った。
これほどの巨大船の場合、通常は船体を爆破したり解体したりする方がコストも安く上がるという。しかしコスタ・コンコルディアの場合、船内に有害物質が残っていることと、まだ2人が見つかっていないことから引き揚げを行うことになった。