イスラム系が「民族浄化」の標的に 中央アフリカ
(CNN) 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは12日、無政府状態が続くアフリカ中部の中央アフリカで少数派のイスラム系住民に対する「民族浄化」が起き、イスラム系難民の大規模流出が起きているとする報告書を発表した。
中央アフリカには旧宗主国のフランスとアフリカ連合が平和維持部隊を送り込んでいる。だがアムネスティは報告書のなかで、平和維持部隊が「西部でのイスラム系市民に対する民族浄化を防止できなかった」と指摘。イスラム系住民の保護にさらに努めるべきだと呼びかけた。
また、国際人権擁護団体のヒューマン・ライツ・ウォッチも同日、イスラム系住民が「繰り返し、容赦ない組織的暴力の標的になっており、イスラム系全体が国を出ることを強いられている」と発表した。
中央アフリカでは昨年3月、イスラム系主体の武装勢力連合体「セレカ」が首都バンギを制圧して当時のボジゼ大統領を追放する政変が発生した。
アムネスティによれば、セレカは権力を手にした約10カ月の間にキリスト教徒の集落に対して虐殺などの残虐行為を行った。
その後、セレカが撤退した際に平和維持部隊は、キリスト教系民兵が各集落を支配下に置くことを黙認。アムネスティは「その結果起きた暴力とイスラム系コミュニティーの強制追放は予見しえた」と指摘する。
医療援助団体の国境なき医師団も、一般市民に対する「前例のない水準の」暴力が発生しているとする声明を発表している。
国境なき医師団は声明で「紛争の図式は複雑で、あらゆるコミュニティーが暴力の被害に遭っているが、少数派のイスラム系コミュニティーが標的になることが増えている。数万のイスラム教徒がチャドやカメルーンに避難した」と述べた。