臓器売買容疑でレバノン人市長を逮捕 スペイン
マドリード(CNN) スペインの警察当局は12日、肝臓移植を希望していた中東レバノンの市長が貧困層の人々に5万5000ドルの支払いで臓器提供の話をもちかけたとして同市長を逮捕したと発表した。
スペインは臓器移植の先進国として知られるが、患者の家族か親しい友人が好意で行う以外の生体移植を認めていない。同国政府によれば臓器売買容疑での摘発はこれが初めてだ。
逮捕された市長は61歳(まだ捜査中のため名前は未公表)。レバノン人3人とパレスチナ人1人も共犯として逮捕された。
警察によれば共犯者らは貧困層の人々に臓器提供をもちかけ、昨年夏に9人(移民が8人、スペイン人1人)がスペイン東部バレンシアの病院で適合性を調べる検査を受けた。検査費用1万6000ドルは市長の側近が支払ったとみられる。9人のうち数人には、検査を受けた報酬として少額の金が支払われたという。
この結果、ルーマニア人移民の男性が適合することが判明。市長は男性とともにバルセロナの肝臓移植専門病院を受診したが、病院側はすぐに2人が親しい関係にないことに気付き、手術は行われなかった。
市長はその後、息子から提供を受けて移植手術を受けた。息子は当初、レバノン国内での検査で非適合との結果が出ていたという。
だがバレンシアの警察は、アルジェリア人女性が肝臓提供と引き換えに金を払うと持ちかけられたという移民支援団体からの通報で捜査を開始。この女性は検査を受けた9人のうちの1人だった。
市長は検診のためにスペインに入国した際に逮捕された。
今回の容疑者らが有罪になった場合、最高で禁錮12年の判決を受ける可能性があるという。