母国を捨てる富裕層、その理由は
具体例を挙げると、ブルガリアでは、投資移民に対して70万ドル(約7000万円)相当の国債を5年間保有することを課している。またカリブ海に位置するセントクリストファー・ネビスでは、40万ドル(約4000万円)を同国の不動産または砂糖産業に投資することを義務づけている。
10年前、こうしたプログラムはわずかしかなかった。だが、多数の国がプログラムを導入し始めた近年では、年間約2万人の富裕層が申請に殺到している。目的は財産保全だ。
より低い所得税を求めたり、あるいは、相続税の支払いから逃れることが狙いとなっている場合もある。この結果、超富裕層の子どもは、今後30年にわたり16兆ドル(約1600兆円)以上もの額を相続することになる見込みだ。
極端なことを言うと、抜け目ない移住者であれば、複数の市民権や居住許可証を手に世界各国を飛び回ることもできるだろう。こうして数日ごとに国を移動していけば、永久に居住者として課税されずに済むかもしれない。