シリア、化学兵器4施設の報告漏れ アサド政権の対応に懸念
(CNN) 欧米諸国の外交官は9日までに、シリアが国連との合意に背く形で化学兵器関連の4つの施設の存在を秘していたことが明らかになったと述べた。うち3つは研究開発の施設で、残る1つは製造用としている。
CNNの取材に応じた外交官によると、この事実はシリアが保有する化学兵器廃棄担当の国連特使であるジクリッド・カーグ氏が国連安全保障理事会に7日報告した。シリア当局が、同国の化学兵器廃棄作業を主導する化学兵器禁止機関(OPCW)との会合でこの情報を明かしたという。
シリアは昨年、欧米が軍事介入の構えを見せる中で、化学兵器の関連施設の全面開示や廃棄に合意。この前には、政権軍が国内で住民に対し有毒ガスを用いたとの非難を浴びていた。昨年9月には、化学兵器廃棄を促す国連安保理決議も可決され、シリアのアサド政権は翌月、廃棄計画を実行に移していた。
今年7月には、同国が保管する最後の化学兵器や原料と主張する計600トン分が洋上廃棄のため米船舶に引き渡されていた。ただ、化学兵器廃棄の査察官らは、シリアに無申告の化学兵器や原料が隠匿されている可能性については明言を避けていた。