両親が「無断連れ出し」の英男児、がん治療後の経過順調
(CNN) 昨年8月に脳腫瘍(しゅよう)で入院していた英国の病院から両親に連れ出され、チェコで陽子線治療を受けたアーシャ・キング君(5)の病状が順調な経過をたどっていることが分かった。この半年間、腫瘍の消えた状態が続いているという。
アーシャ君が家族とともに滞在しているスペイン南部マルベーリャの担当医が23日、CNNに語った。ただ再発の可能性は依然として高く、注意が必要だという。
アーシャ君は英南部サウサンプトンの病院で悪性脳腫瘍の摘出手術を受けた。術後に通常の放射線治療が予定されていたが、アーシャ君の両親は脳や脊髄(せきずい)に重大な副作用を及ぼす恐れがあるとの理由から、陽子線治療への切り替えを希望した。
陽子線治療が受けられる病院は欧州にも数えるほどしかない。両親はサウサンプトンの病院から無断でアーシャ君を連れ出し、本人の出生地でもあるマルベーリャへ向かった。
アーシャ君は9月にチェコの首都プラハで陽子線治療を受け、10月からはマルベーリャの病院に戻ってリハビリを続けている。担当医によれば、治療直後は言葉が出ず、体も動かせなかったが、今ではほとんど自力で歩き、泳いだりおもちゃで遊んだりするようになった。空腹かと尋ねられて簡単な返事をすることもできる。家族は毎日面会に訪れているという。
両親はアーシャ君を連れ出した際に国際手配され、スペインで一時的に拘束された。一家の代表者によれば、両親は英国で逮捕されることを恐れて帰国を見送ってきた。ただし英検察は昨年9月の時点で、両親を逮捕しないとの方針を発表している。