シーア派組織が空港を占拠、内戦の危機に イエメン
サヌア(CNN) 政情の混迷が深まる中東イエメンで22日、イスラム教シーア派武装組織「フーシ派」が南部の古都タイズの空港を占拠した。国連のベノマール事務総長特別顧問(イエメン担当)は、同国が内戦の危機に直面していると警告した。
複数の地元当局者によると、フーシ派はタイズ市内や近郊へ攻め込み、抵抗する住民らに発砲。住民1人が死亡し、82人が負傷した。
フーシ派の部隊はさらに同市の治安、情報機関を占拠し、一帯に検問所を設置した。
同組織は今年1月に首都サヌアを掌握し、ハディ大統領らを軟禁。大統領はいったん辞任に追い込まれたが脱出して南部アデンへ逃れ、「私はまだ大統領だ」と主張している。
国連安全保障理事会は22日、ハディ大統領を支持するとの声明を出し、全勢力に敵対行為の中止と交渉への参加を呼び掛けた。
ベノマール氏は「平和的な対話以外に解決策はない」と強調する一方、同国の情勢は急激に悪化し、内戦の危機にあるとの見方を示した。
同国ではハディ大統領を支持する勢力とフーシ派の激しい衝突に乗じ、「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」や「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」といった過激派がテロ攻撃を繰り返して勢力を拡大するなど、治安状況が極度に悪化している。