トランプ政権、解雇した核兵器関連人員の呼び戻しに奔走
(CNN) 米国家核安全保障局(NNSA)職員が解雇されたことをめぐり、トランプ米政権の当局者が週末にかけて同職員らの呼び戻しに奔走していたことがわかった。事情に詳しい4人の情報筋がCNNに明らかにした。13日に行われた今回の解雇については批判が殺到する事態となっていた。
米国の核備蓄の管理を担う同局では当初300人あまりの職員が解雇された。事情を知るNNSAの現職員2人がCNNに語ったところによると、職員のうち25人ほどを除いた全員が復職した。18日に何人が職場に戻るかは不明。
解雇によって同局は数日間にわたって混乱に陥った。複数の議員がエネルギー省のライト長官に対し、国家安全保障に深刻な影響を及ぼしているとして方針転換を求めた結果、14日に解雇が撤回された。
当初解雇された職員の中には、核兵器製造施設に勤務し、核兵器製造業者の監督や核兵器の検査にあたっていた職員も含まれていた。
解雇に詳しい情報筋は、同局の人事部は解雇に関与しておらず、極めて異例な解雇措置だと語った。撤回の決定により、管理者らは解雇された職員の個人連絡先を特定し、職は安泰だと伝えなければならなかった。電子メールが遮断され、政府支給の携帯電話が停止されていたため、これは難題だった。
今回の解雇に詳しいNNSA職員はCNNに「これは普通ではない」と語った。「ばかげていて、前例のない、ずさんな措置だった。正式な手続きはない」
エネルギー省の報道官は、復職を通知されたNNSA職員の数や、元従業員との連絡が困難になっているかどうかについてのCNNの質問に答えなかった。別の報道官は14日、300人あまりの職員が影響を受けたとの主張に異議を唱え、「解雇された」職員は「50人未満」で「主に管理業務や事務に従事していた」と説明した。
米国の国家安全保障と世界の核安全保障にとって極めて重要な職員がこれほど数多く解雇されたことは、政権が措置の影響を完全に理解することなく、連邦政府の規模縮小に向けた取り組みをいかに性急に進めているかを示している。
政権による解雇の結果、NNSA全体の使命が損なわれたという証拠はただちには得られていないが、同局内部には長期的な影響が及ぶと考える人もいる。
ある情報筋は「主な影響は、解雇された職員の士気と信頼への打撃だ」と語った。
NNSAは、核備蓄を管理するにあたり、政権間の安定性と継続性を確保するために、政治に関係しない職員を多用している。ある情報筋はCNNに、同局トップが政治的に任命された人物に置き換えられた場合、他国からは政権間の継続性の欠如を不安定さの兆候と見なされる可能性が高いと語った。
同情報筋は「世界は、安定した核保有国として米国を頼りにできるとは思わないだろう」と語り、米国が核分野での影響力や指導力を失えば、「核技術の拡散が意図しない結果を招く」と付け加えた。