米科学者による気候変動対策への取り組み、トランプ氏が阻止

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米ロサンゼルスで史上最高気温を記録した日の幹線道路の風景/Al Seib/Los Angeles Times via Getty Images

米ロサンゼルスで史上最高気温を記録した日の幹線道路の風景/Al Seib/Los Angeles Times via Getty Images

(CNN) トランプ米政権は重要な気候変動対策の報告書作成に携わる米政府所属の科学者らに対し、各自の取り組みを停止するよう指示した。この報告書に関与する科学者が明らかにした。気候変動を巡る世界的な取り組み並びに研究から、米国が後退する最新の動きとなる。

この報告書は国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2029年に公開を予定している。米国はかねて報告書の作成に深く関わってきた。

IPCCは最新の科学に基づき、気候危機が地球に及ぼす影響を評価している。IPCCによる報告書は数千人の科学者が関与して数年がかりで作成。その内容を通じて世界中の政策決定者に向け、地球温暖化のもたらすリスクが伝えられる。

IPCCの執筆者らは来週北京で国際会議を開くことになっていたが、この予定は現在宙に浮いている。会議の共同議長を務めるはずだった米航空宇宙局(NASA)のチーフサイエンティスト兼気候問題担当上級顧問のケート・カルビン氏が、上記の「取り組み停止命令」の対象となったからだ。IPCCの報告に携わる前出の科学者が明らかにした。会議では報告書作成に向けた今後の段取りが話し合われる計画だった。

NASAの報道官は、カルビン氏が今回の会議に出席することはないと述べた。CNNはカルビン氏へのインタビューを申し込んだが、NASAはこれを拒んだ。

IPCCの報告書に関与する人物はCNNの取材に答え、こうした事態が今後予定された作業にとってどのような意味を持つのか、関係者には明確でないと述べた。米国の科学者が報告書の執筆に加わるのかどうかも分からないとした。

気候問題の活動家で気候基金の創設者でもあるハージート・シン氏は、「米国の科学者を締め出す決定はこの協働的な取り組みを著しく弱体化させ、作業工程を阻害するリスクを生む。気候関連の底堅い取り組みがかつてないほど必要とされるこの時期に」と懸念を示した。

トランプ大統領は2期目の就任初日、米国のパリ協定からの離脱を宣言した。1期目に続いての再離脱となる。

CNNはホワイトハウスとICPPにコメントを求めている。

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