ある日、キャンプ・ブッカで知り合った男から突然連絡があった。旧フセイン政権下で軍の特殊部隊に所属した経験を持ち、スンニ派過激組織「イラクのアルカイダ」にかかわっている「アブ・アブドゥルラフマン・ビラウィ」という人物が、協力者を求めているという内容だった。
ビラウィ容疑者はバグダディ容疑者の側近でもあり、ISISの幹部だった。13年7月にISISが首都バグダッド郊外のアブグレイブ刑務所を襲撃した際、脱獄した数百人の囚人の1人とされる。
ビラウィ容疑者はスレイマン容疑者に、「結婚するので家を借りる際の名義を貸りたい。住み込みで家族の世話もしてほしい」と頼んだ。スレイマン容疑者は詳しい事情には立ち入らないまま快諾して家を借り、自身の家族とともに階下に入居。ビラウィ容疑者の運転手も務めることになったという。
ビラウィ容疑者は、身近にいたスレイマン容疑者に対しても秘密主義を貫いた。「会談の相手に会わせてもらったことはない。私たちは通信手段に細心の注意を払い、携帯電話を毎週取り替えていた」と、スレイマン容疑者は振り返る。ビラウィ容疑者は常に自爆用のベルトを身に着け、拳銃を持ち歩いていたという
ISISがモスルに侵攻する4日前、警察はこの家を襲撃してビラウィ容疑者を殺害した。警察によれば、同容疑者は射殺される直前、自爆ベルトに手を伸ばしていたという。
CNNの取材に応じたもう1人の人物は、アンマル・アリ・ハリル容疑者だ。バグダッドを拠点として、ISISに爆発物や自爆ベルトを供給していた。