黄色の囚人服を着たハリル容疑者は静かな口調で、「イスラム教国家を樹立することは正しい道だと思えた」と語った。
当初はアルカイダに向けた爆弾材料の取り引きを手掛けていた。アルカイダ勢力がISISに変化すると、今度はISISに忠誠を誓い、戦闘員に自爆用のベストを用意して装着させるようになった。個人的に19人の自爆犯を手配し、送り出したこともある。この中にはドイツ人やオーストラリア人もいたという。
「トップの司令官から自爆要員の準備ができたと直接連絡が入る。攻撃計画は事前に立ててあった。バグダッド近郊で自爆要員を引き取り、隠れ家か現場へ連れて行った」という。標的は大半がシーア派の居住地域。こうした自爆による死者は数十人に上った。
ハリル容疑者は死刑を言い渡される可能性が高い。自分のしたことを後悔していると語る一方、拘束されなければ攻撃を続けていただろうとも話す。
同容疑者はバグダッド中心部に爆弾製造所を設けようとしていた。警察によると、ここで自爆ベスト十数着と、約250個の爆弾が発見された。
ハリル容疑者には3人の子どもがいる。「もし子どもたちに会えるとしたら何を言いたいか」という質問を投げ掛けると、しばらく考えた末に「子どもたちのことについては話せない。申し訳ない」とつぶやいた。