ノーベル経済学賞に米プリンストン大のディートン氏 貧困を研究
ニューヨーク(CNNMoney) スウェーデン王立科学アカデミーは12日、2015年のノーベル経済学賞を米プリンストン大学のアンガス・ディートン教授に授与すると発表した。ディートン氏は貧困問題の専門家。
同アカデミーは授賞理由として「消費、貧困、福祉の分析」を挙げた。
ディートン氏はインドや南アフリカなどの発展途上国で広範な研究を行ってきた。12日の受賞決定後には、「私は(貧困の)減少を予想している。貧困はこの20年で、大幅に減少してきた。これが続くと思う」「ただ、盲目的な楽天家のようには思われたくない」と述べた。
世界銀行の最近の報告によると、世界の「極度な貧困」状態の人は今年初めて全体の1割を下回ると予測されている。
ただ、ディートン氏は世界に広がる不平等の問題にも言及。「不平等が現在、拡大していく傾向にあるのは世界中のさまざまな流れのなかで非常に心配なこと」と述べたほか、「気候変動に関連する巨大な未解決の問題」についても警鐘を鳴らした。
ディートン氏には「大脱出――健康、お金、格差の起原」などの著書がある。スコットランド生まれで、英ケンブリッジ大学で博士号を取得、1990年代初めから米プリンストン大学の教授を務めてきた。
授賞発表の際は、欧州の難民危機についても意見を聞かれ、即座の対応策にはならないが、長期的には世界中での貧困の削減が助けになるだろうと述べた。