フセイン大統領は30年以上続いた独裁政権下で国民を抑圧し、隣国のイランやクウェートに戦争を仕掛け、イラク北部のクルド人に対して化学兵器を使ったとされる。
しかしイラクでは今も宗派対立が続き、イスラム教スンニ派の過激派組織であるISISの脅威にさらされる状況が続く。
ブレア氏は、2003年のイラク進攻がISIS台頭を招く根本原因だったという見方には「一片の真実」があると述べ、「もちろん、2003年にサダムを排除した我々に2015年の状況に対する責任がないとは言えない」と指摘。「だが同時に重要なこととして、第1に、2011年に始まった『アラブの春』も現在のイラクに影響を与えた。第2に、ISISはイラクではなくシリアの拠点から勢力を拡大した」と分析した。
さらに、欧米の介入についての政治的論争はまだ結論が出ていないと述べ、「イラクでは介入を試みて派兵した。リビアでは派兵せずに介入を試みた。シリアでは一切の介入を試みず、政権交代を要求している」と指摘。「我々の政策はうまくいかなかったかもしれないが、それに続く政策がうまくいったのかどうか、私にははっきりしない」と語った。
イラク進攻の決断を「戦争犯罪」とする見方もあると指摘されたブレア氏は、あの当時は自分が正しいと思ったことをしたと強調、「今になってそれが正しかったかどうかは、それぞれで判断すればいい」との認識を示した。