(CNN) 家族から引き離されて監禁され、暴力を受け続けた日々――。イラクで過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者の「奴隷」にされながら、何とか脱出を果たしたクルド系少数宗派ヤジディ教徒の10代の少女が、CNNとの独占インタビューで当時の恐怖を振り返った。
ゼイナットさん(仮名)の家族は、以前からISISの恐ろしいうわさを耳にしていた。彼らがついに襲ってきた時は必死で逃げ出し、近くのシンジャル山を目指した。しかし避難民が殺到する山のふもとで身動きが取れなくなり、ISISの戦闘員らに追い付かれてしまう。
まず父親から、そして姉妹たちからも引き離され、ゼイナットさんはISISの「奴隷」となった。ヤジディ教徒の女性数千人が戦闘員らの所有物として連れ去られたが、ゼイナットさんはこの時、バグダディ容疑者の一家に仕える女性のひとりに選ばれたのだ。
同容疑者から受けた扱いは「本当にひどかった」――顔を覆ったベールから青い瞳をのぞかせて、ゼイナットさんは語り出す。「父親と兄弟のことは忘れてしまえ、我々がもう殺したから。そして母親と姉妹たちは嫁がせたから忘れろ。そう言われ続けました」
「奴隷市場」は「山と海の間にある白い邸宅」で開かれた。ゼイナットさんら9人の少女たちは、ISISが首都と称するシリア北部ラッカ市内のバグダディ容疑者宅へ連れて行かれた。
到着するとすぐに同容疑者のノートパソコンで、ISISが欧米人の首を切断する場面のビデオを見せられた。ヤジディ教からイスラム教に改宗しなければ、お前も同じ運命をたどることになる。そう脅された。