真っ暗な村に一軒だけ、あかりのついた家があった。ISISなら空爆を恐れて必ず照明を消すはず。そう考えたゼイナットさんは、「あの家にしよう」と友人に声を掛けた。
家の住人にヤジディ教徒であること、ISISから逃れてきたことを伝え、故郷へ帰る手助けが欲しいと頼んでみた。すると住人の男性といとこがオートバイの後ろに2人を乗せ、検問にかからないよう空き地や裏道を抜けて安全な場所まで送り届けてくれた。
ゼイナットさんは母親や一部のきょうだいと再会したが、姉妹3人は今もISISに拘束されたまま。父親も行方不明で、生存が絶望視されている。
バグダディ容疑者の「奴隷」だった期間は2カ月半に及んだはずだと、ゼイナットさんは語る。これまでの経験は過去のことと考えて、これからは前向きに行きたいという。夢は外国へ行って、教師になる訓練を受けることだ。
ゼイナットさんはまた、当局に語った情報がバグダディ容疑者の捜索に役立つこと、同容疑者が早く殺害されることを願っているという。
「彼は人々を殺害し、改宗を迫り、少女たちを強姦し、家族を皆殺しにし、母親と子どもたちの間を引き裂いた」「彼がどれだけひどい悪者か、世界中の人々に知ってほしい」と、ゼイナットさんは話している。