抗議、暴行、受け入れ拒否――欧州で続く難民の苦境
マケドニアなどバルカン半島の数カ国は先週、難民の受け入れをシリア、イラク、アフガニスタンの3カ国の出身者のみに限定し、ほかの国から来た人は「経済難民」とみなして受け入れを拒んだ。島にはイランのほかパキスタンやモロッコ、リビアなどから来た1300人あまりが取り残された。
26日には数百人が国境に詰めかけて、有刺鉄線の柵を壊したり、警官隊に投石したりする騒ぎも起きた。
スウェーデンのロムソン副首相は24日、涙で声を詰まらせながら、同国の「門戸開放」政策は終わったと告げた。
スウェーデンはこれまで、欧米諸国の中では人口比で最も多くの難民を受け入れてきた。しかし政府によると、過去2カ月だけで8万人が難民認定を申請。人口1000万人の同国に押し寄せる難民は、推定で最高19万人に達する見通しとなった。
このため同国は「厳しい判断」を迫られ、ロベーン首相は「つらいことだが、もはや現在のような規模では亡命希望者を受け入れられなくなった」と表明した。
トルコでは国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチが今週、シリアからの難民に対する国境が実質的に閉ざされたと伝えた。トルコの国境警備隊がシリアから来た人に乱暴したり押し戻したり、拘束して強制退去させたりしているという。
同団体が話を聞いたシリア人は51人全員が、密航業者を通さない限りトルコには入国できないと証言。4人はトルコ国境警備隊に殴られたり蹴られたりしたと訴えた。
しかし国連によれば、トルコは既に、世界の全シリア難民の半数を超す220万人もの難民を受け入れている。