上半期の地中海難民、過去最多の13万7千人 UNHCR
(CNN) 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は2日までに、2015年上半期(1~6月)に欧州を目指して地中海を渡った難民や移民の数が史上最高の約13万7000人に達したと発表した。
14年1~6月の7万5000人より83%増加した。大半は経済的なチャンスを求めてきた移民ではなく、戦乱や迫害を逃れてきた難民だという。
シリア出身者が3分の1を占めて最も多く、アフガニスタンやエリトリアからの人々がそれに続く。到着する先はほとんどがギリシャかイタリアだという。
グテーレス国連難民高等弁務官は「欧州が地中海における危機の増大への対処をめぐって議論するなか、はっきりさせておかなければならない点がある。海を越えて欧州に来る人々のほとんどは戦争や迫害からの保護を求めてきた難民だということだ」と述べた。
夏の海は穏やかなことから、例年、下半期には上半期を大きく上回る人数の難民が押し寄せる。UNHCRは、欧州に入る合法的なルートがないため、難民は命の危険を冒して海に出るしかないと指摘する。
地中海を渡る際に溺死したり行方不明になったりした難民の数は4月に1308人を数えるなど過去最悪の水準に達したが、国際救援活動が活発化したことなどにより5~6月の死者・行方不明者は激減した。
グテーレス国連難民高等弁務官は「欧州には戦争や迫害から保護を求めてきた人々を助けるという明確な責任がある。この責任を否定することは、欧州が苦労して築いてきた人道システムの基礎を自ら揺るがすも同然だ」と指摘した。