ブラジル前大統領、汚職疑惑で事情聴取 家宅捜索も
リオデジャネイロ(CNN) ブラジル警察は4日、汚職疑惑に対する捜査でルラ前大統領から事情聴取した。警察の報道官が明らかにした。ルラ氏は疑惑を全面否認している。
連邦警察が記者団に明かしたところによると、警察は同日、サンパウロ郊外のサンベルナルド・ド・カンポにあるルラ氏の自宅や、サンパウロにあるルラ氏の財団「ルラ研究所」のほか、息子の自宅などを家宅捜索した。
ルラ氏はサンパウロ市内の空港で3時間にわたり事情聴取を受けた後、釈放された。
警察は、捜査員200人と国税当局の監査官30人を投入。国営石油会社ペトロブラス絡みの汚職や資金洗浄疑惑をめぐる大規模捜査の一環だとしている。連邦検察によれば、ルラ氏は大統領在任時だけなく退任後も、ペトロブラス絡みの賄賂スキームで利益を得ていたとしている。
当局は複数の建設会社が、有利な契約を獲得する見返りに、ペトロブラスの重役や政治家に多額の賄賂を支払ったとみている。捜査員らはこうした資金について、ルラ氏が使用していたとみられる高級住宅などの支払いに使われていたかを調べている。
また、ルラ研究所に対する支払いや献金のほか、建設会社からルラ氏に支払われた講演料についても調べを進めている。
これに対し「ルラ研究所」は4日、当局の動きは「恣意(しい)的、違法で、正当化できない」と反論。捜査の唯一の目的は、ルラ前大統領の体面を傷つけることだとしている。
ルラ前大統領は2003~11年、2期にわたりブラジルの大統領を務めた。ブラジル経済が急拡大するなかで政権を担ったほか、南米初となるリオデジャネイロ五輪の開催権を獲得。現在でも高い人気を誇る。