マレーシア機、消息不明から2年 機長犯人説を検証する
マレーシア当局が1年後に発表した調査報告書にも、機長は高いストレス対応力を持ち、生活が変化したり人間関係に悩んだりしている形跡もなかったと書かれていた。
もちろん、当局には同国出身パイロットの評判を落としたくないとの意図があった可能性も否定できない。しかしこの報告書以外に確かな情報はないのが現実だ。
機長が最後に故郷のペナン島上空を一周したという話や、レーダーを避けるために高度やルートを何度も切り替えたという話も飛び交ったが、どちらも事実でないことが判明している。
タイやマレーシア軍が当時レーダーで機体の姿をとらえながら、無視していたことも忘れてはならない。計画的な犯行だった場合、レーダーの担当者が見過ごしてくれる可能性にかけていたとは考えられないからだ。
技術的な議論は専門家に任せるとしても、我々は事実に即して考える必要がある。その事実とは、機長の犯行だったことを示す証拠がないということだ。
私の意見が全くの見当はずれだと分かれば、素直に認めるつもりだ。しかしそのためには、下世話なうわさ話や稚拙な議論にとどまらない根拠が必要だと、私は考える。