カラジッチ被告に禁錮40年、ボスニア内戦の集団虐殺で有罪
また、1992~95年にかけて首都サラエボが包囲され、市民など1万1000人以上がセルビア人部隊に殺害された事件は、戦争犯罪および人道に対する罪に当たると認定した。
判決では、サラエボ市民が意図的に標的とされ、通りを歩いている市民や自宅の前で遊んでいた子どもなどが狙撃されたと指摘。カラジッチ被告はその報告を受けていながら事態の一層の悪化を許し、自分の政治目的を追求するためにそれを利用したとした。
1995年5~6月にかけて国連平和維持部隊が人質にされた事件でも、カラジッチ被告の指導の下、北大西洋条約機構(NATO)の空爆を避ける目的で人質を軍事的、戦略的要衝に配置したとして、同被告に有罪を言い渡した。
一方で、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中にセルビア人部隊が他民族に対して行った殺人、強姦、強制移転、拷問などの事件については、迫害や殺人などの罪で有罪と認定したものの、ジェノサイドに該当するかどうかは判断できなかったとして、この事件に関するジェノサイドでの起訴については無罪とした。
カラジッチ被告は一貫して無罪を主張しており、判決を不服として控訴する権利もある。また、2008年7月に逮捕されて以来の拘置期間を刑期に算入することもできる。
判決を受けてセルビアの首都ベオグラードでは、カラジッチ被告を支持する極右勢力の数千人が集まり、同被告はセルビア人であることを理由に罰せられたと訴えた。
カラジッチ被告率いるセルビア人勢力の参謀総長だったラトコ・ムラジッチ被告も2012年に逮捕されてジェノサイドや戦争犯罪の罪に問われており、2017年に判決が言い渡される見通し。