ブラジル、スポーツ相が辞任 リオ五輪開幕まで4カ月
リオデジャネイロ(CNN) ルセフ大統領が絡む政府の不正会計疑惑などで政局が混乱しているブラジルで30日、ジョルジ・イルトン・スポーツ相の辞任が発表された。4カ月後にリオデジャネイロ五輪を控える重要な時期での退任表明となっている。
後任にはスポーツ省高官のリカルド・レイゼル氏が就任する。国際オリンピック委員会は声明で、ブラジルの政治情勢を見守っているとしながらも五輪大会は予定通り開催されるとの楽観的見通しを示した。
ルセフ政権は現在、政府会計の粉飾疑惑の他、ルラ前大統領の関与が指摘される国営石油会社ペトロブラスなどを舞台にした汚職疑惑でも揺れている。前大統領は連邦警察の事情聴取も受けていた。大統領は会計粉飾疑惑で国会の弾劾(だんがい)手続きの対象にもなっている。
この中でルセフ大統領は今月中旬、政治手腕に期待したとして前大統領の官房長官への就任を発表。しかし、前大統領の訴追免除を狙う政治的な陰謀との非難を集め、大規模な抗議デモを招いてもいた。首都ブラジリアの連邦裁判所は今回の官房長官人事の差し止めを命じてもいる。
ルセフ政権の窮地を受け、最大政党のブラジル民主運動党(PMDB)が連立政権からの離脱を宣言する波乱も生まれた。同党がルセフ氏を見捨てたことで弾劾手続きに弾みが付くとの指摘もある。
前大統領の官房長官人事については連邦最高裁が30日にその是非についての裁断を示すとみられていたが、この日は結論が出なかった。ルセフ政権にとって致命傷となるか、政権の面目を保つ内容になるかの重要な判断は今後に先送りされた格好だ。