ベルギー、ヨウ素剤配給地域を大幅拡大へ 原発事故に備え
安定ヨウ素剤は被曝(ひばく)による甲状腺がんを防ぐ効能があるとされる。過去の放射能汚染の惨事でも使用されたことがある。米疾病対策センター(CDC)は公式サイトで、安定ヨウ素剤の服用は非常事態が起き、公共衛生当局などから指示が出された場合のみに実施すべきと勧めている。
ベルギーでは2003年から原発での緊急事態発生を見据えた対策が打ち出されている。保健省の報道担当者によると、今回の対策の改正は新技術の普及、新たな緊急対策の必要性やこれまでの核関連事故からの教訓などを踏まえた措置としている。
2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故はベルギーの原発の老朽化が進んでいる実情を踏まえ、同国保健省当局者に取り組むべき課題を改めて突き付けたとされる。原子力業界の団体である世界原子力協会の公式サイトによると、ベルギーでの初の商業用原子炉の稼働は1974年となっている。
福島第一原発事故を受け日本政府は周辺住民に安定ヨウ素剤の配布を始めていた。同事故後には米国でも、人々が同剤の購入に踏み切る動きが見られた。