トルコ首相が辞意 背景にエルドアン大統領との対立
イスタンブール(CNN) トルコのダウトオール首相(57)は5日、5月中に首相職を辞する考えを明らかにした。首相はクルド問題などでエルドアン大統領との対立を深めていると伝えられていた。
ダウトオール首相は与党・公正発展党(AKP)の党首を2014年8月から務めていたが、22日に開催される臨時党大会で辞任する意向を示した。事実上、首相の座から退くことを表明した形だ。
同首相は「わが党は新しい時代に入ろうとしている」と述べた。
首相は「AKPの命運はもはやAKPだけの命運ではなく、トルコという国の命運でもあるから、党の団結・統一を維持するためには」自らの辞任が望ましいとの見方を示した。
ダウトオール首相は元学者で外交官も務めた経歴の持ち主。14年に大統領に当選したエルドアン氏が、自らの後継として首相に抜擢(ばってき)した。トルコの大統領職は制度上、象徴的な意味合いが強いが、エルドアン氏は政権内でも党内でも後継者に権力を譲ることはなかった。
エルドアン氏は憲法を改正して大統領に政治的な実権をもたせるべきだと主張してきた。だがエルドアン氏の支持者からは、ダウトオール首相がその実現に向けて十分に努力していないとの批判の声が上がっていた。
周辺の見方では、他にも両者の対立の火種はあった。その1つがクルド問題だ。首相は少数民族クルド系の武装組織「クルディスタン労働者党」(PKK)との和平交渉再開の意向を示していた。また、ジャーナリストや学者に対してエルドアン大統領が弾圧の姿勢を強めていたことをめぐっても対立があったという。