香港空港で書店が相次ぎ閉鎖、言論の自由に懸念も

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撤退後の店舗には中国国営企業系列の書店が入るケースも

撤退後の店舗には中国国営企業系列の書店が入るケースも

空港管理当局や書店の一部は、閉店の背後に政治的な動機があることを否定。管理当局の広報担当者はCNNの取材に対し、顧客動向や旅客ニーズの変化を調査した結果、書店16店を10店に統廃合する決定を下したとしている。また販売されている書籍の種類については、書店側に選択権があるとも強調した。

書店のうちシンガポール資本の「ページワン」は全6店を閉鎖。フランス資本の「経緯書局」は店舗を5店に半減させた。これに代わり入札を経て入居したのが「中華書局」だ。中華書局は上海で1912年に創業、香港では27年に最初の支店を構えた出版社で、中国本土の支援を受ける香港の出版大手「聯合出版」が保有している。

聯合出版の代表者はCNNの取材に対し、中国の国有企業であることを認めつつも、香港の法律や市場ニーズに従って独立して運営していると述べた。

こうした書店再編の動きをめぐっては、政治的な圧力が働いていると懸念する声も上がっている。地元紙が今年初めに報道したところによれば、ページワン系列の書店は社内メモの内容に従って中国に批判的な本を書棚から撤去したという。

この報道の前には、中国指導層に批判的な本を扱う書店の関係者5人が失踪する事件が発生。中国の治安当局に拉致されたのではないかとの懸念から、抗議行動も起こった。このうち3人は香港に戻ったものの、残る2人は中国当局に拘束されたままだ。

ページワン社は社内メモに関する報道について、「真実ではなく誤解を招くもの」としている。同社の支店は近年中国本土に進出しているが、空港内の店舗の閉鎖が政治的にきわどい内容の書籍を扱っていたことに関係するとの臆測は否定。店舗の賃貸借契約の期間終了後に次の入札に参加しなかったのは「香港における小売業の不振」が原因だとし、政治的な圧力があったとの疑惑を全面否定している。

こうした書籍を購入しているのは搭乗前の時間つぶしに訪れる観光客だけではない。CNN取材班は4月初め、空港に残っている経緯書局の書店で本を眺めている男性に接触した。

男性は政治や伝記関連の書棚をチェックするため、頻繁にこの書店を訪れているという。4月上旬に閉店の予定だと知ると驚きの表情に。ゴシップ本を指さしながら、「この手の本に関してはどこよりも品揃えが充実している」と言って意味ありげな笑みを浮かべた。

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