「私の息子ではない」 ダッカ襲撃実行犯の父親、取材で涙
バングラデシュでは最近、宗教的少数派らを狙った襲撃事件が続発していた。そのほとんどが経済的に恵まれない、イスラム学校出身者による犯行だったが、今回の事件は違う。
実行犯の中心は裕福な家庭に育ち、私立学校で教育を受け、何不自由なく進んで世俗社会を渡ってきた若者たち。喫茶店でしゃべったりスポーツをしたり、フェイスブックを利用したりする「ごく普通」の若者だったと、専門家は指摘する。
ムバシール容疑者の家庭も「中の上」の層に属していた。カビールさんは通信企業の幹部で、イスラム教徒だがそれほど熱心な信者ではないという。
同容疑者は常に宗教に関心を示し、家族もその好奇心を抑え込もうとはしなかった。「ゆがんだ解釈でなく直接原典を学んだほうがいい」と、カビールさんが英語版の聖典コーランを与えたこともあった。
息子は感受性が強く、友だちが多いタイプではなかったと、カビールさんは振り返る。過激派はそこに目を付けたのかもしれない。カビールさんは「彼らが実際にどういう言葉をかけたのか分からないが、本人の自信のなさや信仰心につけこんで仲間意識を植え付けたたのだろう」と話す。