中国空母「遼寧」、太平洋を航行 軍事力拡大を誇示
「中国の空母艦隊がいずれ米国沖に進出すれば、海洋支配に関する集中的な思考を誘発させる」「米国が中核的な関心を持つ地域に同艦隊が進出できれば、米国が一方的に中国に圧力をかける状況は変化する」。論説ではそう述べ、中国は国産空母の建造を急ぐ必要があると力説している。
米太平洋軍の元幹部でハワイ太平洋大学教授のカール・シュスター氏によると、中国では新しい空母1隻が完成に近づいていると見られ、もう1隻は建造に着手するところだという。
しかし中国の空母が脅威となるのはまだずっと先だと同氏は予想。「中国には空母戦力の基盤となる経験豊富な海軍飛行士や空母乗員の部隊がない。それを一から築き上げることは、ほとんどの人員を2年の徴兵に頼る部隊にとっては難しい」と指摘する。
シュスター氏によれば、中国は2027~29年までに空母4隻の艦隊を築くことを目指しているという。
それでも艦隊の規模は、空母10隻を運用する米海軍の半分にも満たない。米海軍はさらに1隻を間もなく就航させる見通しで、もう1隻の建造も進めている。
ただしグローバル・タイムズでは当面の間、中国はいわゆる「第1線」を越えた範囲にまで影響力を拡大する必要があると主張。この第1線は、南シナ海のパラセル(西沙)諸島の北から北東に進んで台湾を内側に取り込み、沖縄の西を通過し、さらに北へ折れて韓国と中国の間の東シナ海に至る。同紙は「中国の艦隊がまだ到達したことのない海域にまで航行する能力と勇気を持たなければならない」と強調している。