ISIS掃討作戦、民間人死者は2年半で229人
(CNN) 過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と戦う米軍主導の有志連合は1日、作戦開始から約2年半の間にイラク、シリア両国での砲撃や空爆で少なくとも229人の民間人が死亡したとする報告をまとめた。
有志連合によると、2014年8月から今年2月末までの対ISIS戦で実施した砲撃と空爆は計1万8600件以上。軍当局者らによれば、ISISが最近、民間人をひとつの建物に集中させて「人間の盾」とする戦法に出ていることが、被害の拡大につながっているという。
米軍は現在、3月中旬にイラク北部モスルでの空爆で多数の住民が死亡したとの情報について、正式に調査を進めている。イラク保健当局の幹部はCNNに、現場から112人の遺体が収容されたと語った。この被害が確認された場合、死者数はさらに大きく増えることになる。
有志連合はほかに、民間人の犠牲をめぐる43件の情報を検証している。このうち23件がイラク、20件がシリアからの報告だ。2月に報告されてすでに調査が完了した17件のうち、12件は信頼性に欠けるとの結論が出たという。
有志連合の広報を担当するスクロッカ米軍大佐は報道陣に、ISISの新たな戦法に対応するため作戦を調整していると述べたが、作戦の安全確保を理由に詳細への言及は避けた。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの専門家は、ISISが民間人を人間の盾に使っていることは戦争犯罪に相当すると非難する一方、「イラク軍や有志連合の部隊が過剰な攻撃を避けるべきであることに変わりはない」と指摘している。