ロシア、シリア攻撃を非難 「主権国家への侵略」
(CNN) シリアでの民間人に対する化学兵器使用疑惑を受け米軍が初めて同国のアサド政権を攻撃した件で、ロシアとシリアの両政府は8日までに、この攻撃を強く非難した。
ロシアのプーチン大統領は報道官声明で、「こじつけの口実の下に行われた主権国家への侵略であり、国際法の規範に違反している」として米国の行動を非難。一連の攻撃について「米ロ関係に深刻な打撃を与えた」と述べたほか、その目的はイラクにおける有志連合の空爆で生じた民間人の死亡から注意をそらすことだったとの見方を示した。
シリアのアサド大統領は、米国が同国に対し「不当な恥知らずの攻撃」を行ったと言及。攻撃は「近視眼的な見方や視野狭窄(きょうさく)、政治的・軍事的現実への盲目的な姿勢のみを示すもの」だと述べた。
一方、西欧諸国の指導者は米国の行動を支持し、攻撃はアサド大統領が自ら招いたものだとの見方を示した。
国連のグテーレス事務総長は、シリアでの状況を「深い懸念とともに」見守っていると表明。自制を促したほか、国連安保理に団結を呼びかけ「国際社会の平和と安全のための責任」を果たすよう求めた。
7日未明に行われた米軍の攻撃では、地中海東部に展開する米軍艦船からシリア中部シュアイラート空軍基地に向けて巡航ミサイル「トマホーク」が発射された。同基地はシリア政府を支援するロシア軍にとっても重要な基地となっている。
シリア国営シリア・アラブ通信(SANA)によれば、この攻撃により2つの村で子ども4人を含む9人が死亡したという。