内戦続くイエメン、「完全崩壊」の危機 国連が警告
(CNN) 国連のスティーブン・オブライエン事務次長(人道問題担当)は30日、内戦が続く中東イエメンの現状を国連安全保障理事会に報告し、その社会、経済、国家は世界の目の前で「完全な崩壊状態」に向かいつつあると警鐘を鳴らした。
オブライエン氏は、イエメン国民が現在、武力紛争と飢饉(ききん)、命にかかわる病という「3重の脅威」に直面していると指摘。死傷者や避難民など数百万人が影響を受け、このままではだれも逃れることはできないだろうと述べた。
そのうえで、国連は同国民を守るため、全ての紛争勢力に国際人道、人権法を守らせ、支援物資のルートを確保し続ける必要があると訴えた。
2年前から続くイエメン内戦では、ハディ暫定大統領派とイスラム教シーア派の武装組織「フーシ」が対立。暫定政権側を支援するスンニ派主導のサウジアラビアと、フーシ側に肩入れするシーア派大国のイランによる「代理戦争」の様相も呈し、戦闘が沈静化する気配はない。
オブライエン氏によれば、イエメンでは現在、1700万人が食料の安定供給を受けられず、その半数近くは「飢餓状態の一歩手前」にある。これは世界でも最悪の状況だという。
同国の家庭では娘の面倒がみられないからと結婚させたり、花嫁の持参金を生活費に使ったりするケースが増えているという。
同氏はさらに、国民が基礎的な医療さえ受けられない現状を訴え、「私がこの話を終えるまでにまた1人、イエメンの子どもが防げたはずの病気で死んでいく」と語った。
イエメンではコレラの感染が拡大している。国連児童基金(ユニセフ)によると、この4週間だけで子どもを中心に5万5200件の症例が報告された。