中印、対立深まる ブータンの係争地めぐり応酬
(CNN) 国境問題を巡って中国とインドの間で緊張が高まっている。中国外務省の報道官は20日までに、定例記者会見で「状況がこれ以上エスカレートすることを避ける」ためとして、中国が領有を主張するドクラム高原からのインド軍部隊の撤収を求めた。
問題となっているドクラム高原は、ブータンと中国の紛争地だ。インド領ではないが、首都デリーと北東部の諸州を結ぶ回廊地帯に近く、インドにとっては戦略的に重要な地域といえる。
専門家によればここ数日、緊張は高まっている。17日に中国は、この地域に近いチベット高原で実弾演習を行った。中国国営メディアによれば、目的は「こうした地点での戦闘能力」を高めるためだ。
ことの始まりは6月16日、インドの国境警備隊が道路建設を妨害するために中国領内に侵入したと中国政府が非難したことだ。インド外務省は声明で、同国軍の兵士が「中国の建設関係者に近寄り、現状を変えるのをやめるよう求めた」と説明している。
ブータン政府は中国に対し、「ブータン領内で」道路建設を行ったことは「直接の(条約)違反だ」と正式に抗議した。
インドとブータンは歴史的に関係が深く、外交政策でもブータンはインドと緊密に協力している。
一方で平和的な解決への機運が盛り上がる可能性もある。インド政府の閣僚らは先ごろ外交的解決への支持を表明。また、中国も秋に5年に1度の党大会を控えている。
「習近平(シーチンピン)国家主席は党大会での立場が悪くならないよう、安定を維持するとともに、外交政策上のリスクを減らそうとしている」と、シンガポール国立大学アジア・グローバル化センターのセリーナ・ホー上級研究員は言う。