「現代の奴隷」、世界で4000万人超 国連報告書
ロンドン(CNN) 2016年の時点で「現代の奴隷」のような状況に置かれている被害者は世界で4000万人を超え、その4分の1を子どもが占めるという実態を、国連の国際労働機関(ILO)と国際NGOのウォーク・フリー・ファンデーションがこのほどまとめた報告書で明らかにした。
それによると、2016年に脅しや強要を受けて働かされた被害者は推定2500万人。結婚を強要された被害者は1500万人に上る。
ILOとウォーク・フリー・ファンデーションが現代の奴隷に関する報告書を共同でまとめたのは今回が初めて。同NGOによると、推定4000万人の被害者のうち、加害者が摘発されたり被害者支援制度などを通じて救済や支援を受けたりすることができた人は数万人にとどまった。
被害者は71%を女性が占める。中でも性産業で働かされている被害者の99%、結婚を強要された被害者の84%は女性だった。
被害者に占める子どもの割合は、結婚強要が37%、強制労働が18%、性的搾取が21%に上る。
報告書で定義する現代の奴隷には、脅しや暴力、強制などによって拒むことや辞めることができない状況で働かされる強制労働や借金による束縛、結婚強要、人身売買などが含まれる。
地域別にみると、被害者が多いのはアフリカ、アジア太平洋の順だった。ただしアラブ諸国や米州については統計が入手できない地域もあり、完全な状況は把握できていない。
これとは別に、ILOが独自に発表した児童労働に関する2017年版の報告書では、世界の5~17歳の子どものうち、1億5200万人が児童労働に携わっていると指摘。このうち7300万人は、健康や安全、道徳心の発達が直接的に脅かされる仕事をさせられているとした。