ISISの「首都」ラッカが事実上陥落 奪還作戦完了
(CNN) シリアで過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と戦っている米主導の有志連合は17日、ISISが「首都」と称してきた同国北部ラッカの奪還作戦が完了したと発表した。
米当局はまだ正式に勝利を宣言していないが、ラッカ陥落はISIS掃討作戦が事実上終わったことを意味する。
ISISが支配した都市で特に人口が多かったのは7月に解放されたイラク北部モスルとされるが、ラッカはISISが2013年末に侵攻し、シリアで最初に掌握した主要都市。市内の国立病院とスタジアムに本部を置き、ここで外国でのテロ計画などを立てていた。
だが今やISISの支配地はシリアとイラクの砂漠地帯に点在する小さな街を残すのみとなり、ISISが宣言した「イスラム帝国」の時代は終えんを迎えた。
最高指導者のアブバクル・バグダディ容疑者はユーフラテス川沿いに潜伏しているとみられるが、ISISはもはや実体のない概念となり果てた。
ラッカは今後、地元のアラブ系民間人で構成する組織が暫定治安部隊の力を借りて統治する計画。米軍の支援を受けて奪還作戦を進めてきたクルド人主体の「シリア民主軍(SDF)」は撤退する見通しだ。
しかし戦闘で破壊されたインフラの再建には巨額の費用がかかることが予想され、ロシアの支援を受けるイスラム教シーア派系のアサド・シリア政権と、スンニ派主体の住民、さらにクルド人を加えた3勢力による主導権争いも懸念される。