列車名候補に「アンネ・フランク」 ドイツ鉄道の案に賛否
(CNN) ドイツ最大の鉄道会社「ドイツ鉄道(DB)」が新たに導入する高速列車の車両名の候補として、第2次世界大戦中にナチス・ドイツの迫害から逃れて隠れ家生活を送ったユダヤ人の少女、アンネ・フランクの名前が挙がり、賛否の分かれる論争が巻き起こっている。
DBは最新型の列車に同国で広く知られた人物の名前を付けようと、広く候補を募っていた。集まった1万9400件を審査チームが検討し、25件に絞ったが、この中にアンネの名前があった。
アンネと家族は1942年から約2年間、オランダ・アムステルダムの隠れ家で暮らした。アンネがこの間に書いたノートは、後に「アンネの日記」として出版された。
一家は密告されてナチスに捕まり、列車でオランダのベステルボルグ中間収容所を経てポーランドのアウシュビッツ強制収容所へ送られた。アンネと姉はさらに独ベルゲン・ベルゼン収容所へ移送され、そこで45年2月に亡くなった。
フランク一家のようなユダヤ人は当時、片道切符を買うよう強制されることが多かった。切符を売ったのは、DBの前身であるドイツ国営鉄道(DR)。DRは当時、収容所間のユダヤ人の移送を取り仕切っていた。移送は長く過酷な旅で、その間に死者が出るほどだったことが知られている。
高速列車をアンネ・フランクと名付ける案について、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)研究者や政治家からは「善意ではあっても見当違いで悪趣味」「冒とく的だ」と批判する声が上がっている。
これに対して「アンネの悲劇を記憶にとどめることのほうが重要」と主張する学者もいる。