辞任表明のレバノン首相、近くパリ訪問 仏大統領府が発表
(CNN) レバノンのハリリ首相が訪問先のサウジアラビアで突然辞任を表明した件で、フランス大統領府は15日、ハリリ氏が「近日中」に同国の首都パリに空路で向かう見通しだと発表した。ハリリ氏をめぐってはこの数日、自らの意思に反してサウジ国内に拘束されているのではないかとの臆測が広がっていた。
仏大統領府は今回の発表に先立ち、マクロン大統領がハリリ氏やサウジのムハンマド皇太子と会談した後、ハリリ氏のフランス訪問を招請したと明らかにしていた。
ハリリ氏は今月4日、サウジの首都リヤドからのテレビ演説で、自らの命が危険にさらされているとして辞任を表明。以来レバノンに戻っておらず、自らの意思に反してサウジ国内で拘束されているのではないかとの臆測に拍車をかける形となっている。
レバノンのアウン大統領は15日、フランスによる一連の発表前に、ハリリ氏がサウジ国内で「拘束」されていると声明で主張。レバノンはハリリ氏が帰国するまで同氏の辞任に関する決定を下すことができないとしたうえで、「実際に起きたのは政府内の辞任ではなく、レバノンとその独立、尊厳、サウジとの関係に対する攻撃行為」だと述べた。
ハリリ氏はアウン氏の声明の直後、ツイッターで「非常に良い状態」だと述べ、間もなくレバノンに帰国するとの意向を表明。この前日には、「2日以内」にレバノンに戻りたい考えを明らかにしていた。
ハリリ氏の辞任の背景には、イスラム教スンニ派が多数を占めるサウジと、シーア派主導のイランという中東2大大国のライバル関係がある。
サウジの後押しを受けるスンニ派のハリリ氏は辞任表明の際、レバノンなど複数のアラブ諸国に内政干渉しているとしてイランを非難。また、イランの支援を受けるイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」にも言及していた。レバノンの連立政権にはヒズボラも参加している。