英、EU離脱交渉に暗雲 国境問題でアイルランドが警告
ロンドン(CNN) 2019年3月に欧州連合(EU)から離脱すると表明している英国に対し、EU側で唯一、陸続きで接することになるアイルランドが警告を発している。両国の境界の扱いをめぐる問題が解決されなければ離脱交渉を遅らせることも辞さないとして、強硬姿勢を貫く構えだ。
英領北アイルランドとアイルランドの国境は、1998年に成立した北アイルランド紛争の和平合意以降、人とモノが自由に行き来できる「ソフトボーダー」となっている。しかし英国がEUの単一市場や関税同盟から脱退した後は、厳格な「ハードボーダー」が復活することが予想される。
アイルランドはこれに強い懸念を示し、英国がハードボーダーの回避を約束するまで、離脱後の貿易協定をめぐるEUとの交渉を進めるべきではないと主張している。
同国のバラッカー首相はメイ英首相に、物理的な国境設定の可能性を文書で否定するよう求めた。アイルランド出身のホーガン欧州委員もメイ首相に対し、ハードボーダーのシナリオを避けるよう強く呼び掛けてきた。
メイ首相はEUから、アイルランド国境やEUへの清算金支払い、在英EU市民の権利という3つの主要課題について、12月4日までに新たな提案を示すよう求められている。EUはこれらの問題で「十分な進展」がなければ、離脱交渉は進められないとの立場を示してきた。
一方、メイ政権の存続を支える北アイルランドの離脱推進派、民主統一党(DUP)の議員らは、国境の扱いなどをめぐって北アイルランドを離脱の例外とする措置には反対との立場を明らかにしている。
メイ首相はこうした意見に対応しつつソフトボーダーを維持できるのかどうか、難しいかじ取りを迫られている。