米のエルサレム首都承認は「最大の過ち」 国際社会から批判の声
(CNN) トランプ米大統領が6日、エルサレムをイスラエルの首都と宣言したことについて、パレスチナ首脳は「最大の過ち」と強く非難した。この宣言によって聖戦を唱える過激派が勢い付き、米国が和平合意の仲介役を果たすこともできなくなると警告している。国際社会も批判の声を強めており、国連安全保障理事会は、8日にこの問題について協議する。
パレスチナのアッバス議長はテレビ演説の中で、トランプ大統領の発表について「過激派組織が仕掛ける宗教戦争を助長し、地域全体に損害を及ぼす。それは重大な局面を経て、終わりのない戦争へと我々を導くだろう」と警告した。
中東和平交渉のパレスチナ側の責任者サエブ・エレカット氏は、これで米国が和平プロセスにおける役割を果たすことはできなくなったと指摘し、「トランプ大統領は、2国家(解決)の一切の可能性を破壊した」とする声明を発表。CNNの取材に対しては、「トランプ大統領は人生で最大の過ちを犯した」と語った。
パレスチナの各派は3日間の抗議運動を呼びかけ、米国務省はパレスチナ西岸とエルサレムの旧市街について渡航警戒情報を発表した。
イランの最高指導者ハメネイ師は公式ツイッターに掲載した声明で、米国の決定は「絶望と衰弱」から生じたと述べ、「パレスチナは解放される。パレスチナ国家は勝利を遂げる」とした。
トランプ大統領の発表が中東を不安定化させ、イスラエルとパレスチナの和平合意の妨げになるとの懸念は強まっている。
国連のグテーレス事務総長は、エルサレムの地位はイスラエルとパレスチナの交渉を通じてのみ解決すべき問題だと指摘し、「2国家解決に代わる代替策はない」と言明。
「2国家が平和と安全と相互承認の中で共存し、エルサレムをイスラエルとパレスチナの首都とし、最終的な地位問題は交渉を通じて恒久的に解決され、双方の人々の切実な願いがかなえられる」という展望の実現によってのみ、この問題は解決できると訴えた。
フランスのマクロン大統領は、訪問先のアルジェリアで演説し、トランプ大統領の決定に遺憾を表明。米国の新しい政策は国際法違反に当たるとの見方を示した。