英国とEU、離脱交渉で進展 協議は次段階へ
ロンドン(CNN) 英国の欧州連合(EU)離脱交渉をめぐり、メイ英首相とユンケル欧州委員長は7日、ベルギーの首都ブリュッセルで記者会見を開き、懸案となっていたアイルランド国境管理などの主要課題で合意したことを明らかにした。行き詰まっていた交渉に突破口が開けたことを受け、離脱協議は将来の通商関係をめぐる次の段階に移ることが可能になる。
今回の進展は、離脱協議が難航するなか苦境に立たされていたメイ氏にとって大きな成果だ。合意が成立しない場合の協議決裂を懸念していたEU側交渉団にとっても、安堵(あんど)をもたらす結果となった。
メイ首相は会見で、「ここに至るまでには双方の譲歩が必要だった」と言及。「現在公表されている共同報告書は英国全体の最善の利益にかなうものであると信じる」と述べた。
今回合意に達したのは、EU離脱に際しての英国の「手切れ金」、英国内に住むEU市民の離脱後の権利、アイルランド国境をめぐる問題の3点。EU側は6カ月ほど前に離脱交渉が始まった際、この3点に関し「十分な進展」があるまでは、英国との将来の通商関係についていかなる協議も容認しない姿勢を示していた。
最も解決が難しかったのはアイルランド問題だ。英領北アイルランドとアイルランド間の国境の非軍事化は、長年の北アイルランド紛争を終結させた1998年の和平合意で鍵となった要素だった。
現在は国境検問所が廃止されており、アイルランド島内を自由に移動できる。
しかし英国のEU離脱が決定したことを受け、北アイルランドがEUを離脱する一方、アイルランドはEU域内に残る見通しとなり、国境管理が厳格な「ハードボーダー」への回帰の可能性が浮上していた。