業者はさらに「いいか、強姦されたら抵抗しないことだ」と忠告してきた。
国連児童基金(ユニセフ)が昨年、北アフリカからイタリアへのルートをたどった122人の証言を基にまとめた報告書によると、女性と子どもの半数近くが移動中に性的虐待を受けていた。複数の場所で繰り返し被害に遭ったケースが多いという。
契約成立から1日もたたないうちに、2人はエド州の売春宿で業者と待ち合わせた。詳しい説明もないまますぐに地元のバスターミナルへ連れて行かれ、北へ向かう路線バスに乗せられた。公共交通機関は当局の取り締まりを受けにくいという利点があるようだ。
見送る業者の視界からバスが消えたところですぐに2人は降車。待ち受けていたプロデューサーと合流した。そのまま乗っていれば14時間後にはカノに着き、業者がニジェール行きのバスに乗せてくれることになっていた。そこからさらに北上してリビア南部に入る。昨年の取材で、難民たちが競売にかけられていた街だ。
CNNの2人は幸いにもリビアへの旅を免れた。だが契約成立から出発に至る経緯から分かったのは、その旅がいとも簡単に実現してしまうという事実だった。