未知の感染症「疾病X」に備えを WHOが対策に盛り込む
(CNN) 世界保健機関(WHO)は13日までに、エボラ熱やジカ熱のような公衆衛生上の緊急事態に備えて研究開発を加速させるべき感染症の一覧に、「疾病X」を追加した。
「R&Dブループリント」と呼ばれるWHOの戦略対策計画は先月公表された。疾病XのXは「unexpected(予想外)」を表し、WHOでは「現時点で人間の発症が確認されていない病原体が引き起こす深刻な国際伝染性疾患」と定義している。
「過去の経験で学んだ通り、我々は時として予想外の事態に見舞われる」。米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・フォーシ所長はそう解説する。「ジカ熱は予期できなかったし、エボラ熱が都市を襲うとも思っていなかった」
そうした未知の事態に直面した場合、WHOには迅速な対応が求められ、そのための基盤となる技術を確立しておく必要がある。
ワクチン開発のための手順を確立しておけば、流行が広がった場合に原因となるウイルス特有の遺伝子配列を突き止めて、新しいワクチンの開発に役立てることができる。
そうした基盤を確立するためには、さまざまなウイルスについて研究を深める必要があり、その研究に基づいて対応を加速させることができるとフォーシ氏は指摘する。
WHOは疾病Xのほかに、効果的な治療薬やワクチンが存在せず、世界的な脅威となりかねない疾病として、エボラ熱やマールブルグ病、ラッサ熱、重症急性呼吸器症候群(SARS)などを挙げている。
R&Dブループリントは、西アフリカで2014年3月からエボラ熱が大流行した事態を受け、ワクチンなどの研究開発を対策に組み込む必要があるとの認識から生まれた。