ロシアの元スパイに使われた神経剤、「サリンより危険」と専門家

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防護服を着て元スパイ襲撃事件の捜査に当たる英軍関係者ら

防護服を着て元スパイ襲撃事件の捜査に当たる英軍関係者ら

(CNN) 英南部ソールズベリーで元スパイのロシア人男性らが神経剤で襲撃された事件について、英国のメイ首相は、犯行に使われた毒物が旧ソ連で開発された「ノビチョク」と特定されたことを明らかにした。

ロシア語で「新参者」を意味するこのノビチョク。ロシア以外の国の研究者の間では扱った経験を持つ者がほとんどいない、なぞに包まれた物質として知られる。

極秘での開発が進められたのは米ソ冷戦時代の1980年代。化学兵器による対米攻撃を念頭に置いていた。90年代半ば、体制に不満を持つソ連人科学者が暴露するまで、その存在は明らかにされてこなかった。

現在も、ロシアを除いてノビチョクを開発している国はないとみられる。

英国軍で勤務した経歴を持つ化学兵器の専門家ハミシュ・ドゥブレトンゴードン氏はCNNの取材に答え、ノビチョクについて「極めて洗練された化学兵器」と説明。今回の事件での使用に「ロシアが全く絡んでいないというシナリオは想定しづらい」との見方を示した。

また英レディング大学で薬物学を専攻するギャリ―・スティーブンス教授によれば、ノビチョクの人体への危険性はサリンやVXガスといった他の神経剤を上回る。症状として心拍数の低下や気道狭窄(きょうさく)が起こり、多くの場合窒息の苦しみにさいなまれながらゆっくりと死を迎えるとされる。

治療法はなく、酸素や抗けいれん薬を投与するといった支持療法により延命を試みることになる。

ノビチョクは無色透明で臭いも味もしないため、運搬が容易だ。前出のドゥブレトンゴードン氏は、空港や港湾での持ち込み、あるいは郵送した場合でさえ中身が検知される可能性は低いと指摘する。

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