8歳女児の強姦・殺害で宗教対立が激化 インド北部
ニューデリー(CNN) インド北部の州でイスラム教徒の8歳の女の子が強姦され、殺害された事件を受け、現地のイスラム教徒とヒンドゥー教徒の間で敵対意識が高まっている。大規模な抗議行動も起き、かねてより不穏な雰囲気の漂っていた地域の安定がさらに失われかねない状況だ。
事件が発生したのはインド北部のジャム・カシミール州。警察によると同州で遊牧生活を営むイスラム教徒のコミュニティーに属していた8歳の少女が今年の1月12日、馬に牧草を食べさせていた際に拉致された。
少女はヒンドゥー教の寺院に連れて行かれ、5日にわたり監禁された。複数の男に繰り返し強姦された後で首を絞めて殺され、17日に近くの森に遺棄されたという。
警察は少女の死亡に関連して男8人を逮捕。全員がヒンドゥー教徒だったが、これに対して右翼系のヒンドゥー教徒の民族団体と州の弁護士協会が、嫌疑の取り消し及び事件を中央捜査局(CBI)に委ねることを求めるキャンペーンを立ち上げた。地元警察はイスラム教徒であるため、公平な捜査ができないというのがその理由だ。
先週には州の裁判所の外で、弁護士協会のメンバーが警察による容疑者の起訴を阻止しようとしたのをきっかけに、暴力的な抗議行動が起こった。
ジャム・カシミール州はヒンドゥー教徒の多いジャム地方とイスラム教徒が多数派を形成するカシミール地方に分かれる。右翼系ヒンドゥー教徒の民族団体を率いるビジャイ・シャルマ氏は、同州で既に存在する宗教間の緊張関係に言及したうえで「イスラム教徒は脅威であり、その人口は増加している」と指摘。イスラム教徒に寛容な立場をとる州政府への不満を表明した。
一方で地元警察は、容疑者らを起訴できるだけの具体的な証拠があると主張する。少女を拉致してイスラム教徒が多数を占める遊牧民に恐怖を与え、地域から追い出そうとしたとみている。